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ブックレビュー 『いのちの手紙』 箙田鶴子、千葉敦子著 筑摩書房 1983年

ソフィーは、1970年代から1980年代に活躍した千葉敦子さんという経済を専門とするジャーナリストの生き方に影響を受けました。
そのことは、以下の記事にまとめてあります。

この記事では千葉敦子さんと箙(えびら)田鶴子さんという方の共著『命の手紙』について紹介します。

いのちの手紙 (ちくま文庫 え 2-1)

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ソフィーは大学時代に千葉敦子さんの著書はほとんど読んだつもりでいたのですが、この本のことは最近まで知りませんでした。

脳性小児まひで「神への告発」という小説を書いた箙(えびら)田鶴子さんという作家との間で「生」についてをテーマとして交わされた往復書簡を書籍にしたもの

千葉さんは乳がんを患い、箙さんは脳性小児まひという生まれながらの障害をかかえています。

人の手を借りなければ食べることも服を着ることもできない箙さんと、自分の選択するままに好きなように生きていた千葉さんという対照的な二人が、考え方の違いに意見をぶつからせたり、違うことから学びあったり、叱咤したり励ましあったりしています。

これを読んで、感謝することは何よりもまず感謝する本人を幸福感で満たすということ、それからだれでも人の役に立つ能力を持っているのだから、それを磨いて人のために使うべきだということを学びました。

お二人の読書量、知識量、そして当たり前ながら文章力には圧倒させられます。

また、以下の文章で、障害を持つ方に対して無意識に持っていた考えを改めるべきだと感じました。

「身障者だからといって、『何々の性格であろう』、または『あるべきだ』等の憶測、および定義づけはしないでいただきたい。『人間が』身体に障害を持っているので、『障害が』彼の彼女の人間そのものなのではありません。健康人と同じく、各自個性があり、品性にしてもピンからキリなのです。」

私の職場で障碍者が複数働くようになりました。

知的障害だったり発達障害だったりなので、箙さんとは違いますが。

職場は障碍者に対する理解はあるほうだと持っています。

それでも、固定観念というか、そういうのはあるので、せめてその人の中にある個性や品性を見るようにしたいと思いました。

千葉さんが障害を持つことに対して、「なぜ私ではなくあなたが?」という問いを持っています。

これは精神医学者の神谷美恵子さんの受け売りのように感じました。

しかしながら、生まれ育ちを含めた環境、知的能力、身体的能力、病気など、本人の努力ではどうにもならないことで偏見を持たれたり、差別されたり、悩んだり苦しんだりすることはたくさんあります。

しかも、それはほとんどが運によるものです。

たまたまこの時代に生まれたこと、たまたま日本に生まれたこと、たまたまこの両親のもとに生まれたこと。

それぞれについて、自分は運がよかったと思えることもあるし、運が悪かったと思えることがあるはずです。

ある環境で育ったために、十分な教育を受けられた人、受けられなかった人がいます。

人が置かれている環境も立場もほとんどのことが偶然の組み合わせのうえに成立しているのです。

だからこそ、その偶然のせいで、苦しんでいる人、弱い立場に甘んじている人に対して「なぜ私ではなくあなたが?」という問いを持ち、「自分がその立場に立つ可能性もあった」ことを謙虚な気持ちを持ち続けることは大切だと思っています。

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